中秋から晩秋にかけての野川公園は、ぜひ歩いてみたい所の一つだ。とくに、天気のよい朝がいい。木々が色づき、落葉がはじまる頃、川面にうっすらと朝もやがかかっていたりすると、イギリスの田舎にでもいるような雰囲気がある。あるいは、芝生に置かれた公園のベンチで、朝日を浴びながら朝食でもとったら、最高の贅沢に思えるに違いない。

野川公園は調布にありながら、残念なことに、大方の市民にとって、ここの往復は「ちょっと散歩に」と言うには遠すぎるかも知れない。だから、しんどいと思われる方は自転車もよいだろう。公園は広いから、中を歩き回るだけでも結構楽しめる。
以下の案内は国領駅からになっているが、野川沿いのどこからでも途中参加大歓迎と言うことで出かけるとしよう。国領駅から野川公園東端まで約5kmある。国領駅から北に、旧甲州街道、甲州街道を横切り、やや左斜めの道を進む。甲州街道から100mくらいの所、角に電気器具店のある三叉路で、右の道を進む。風呂屋の煙突が見えてくれば、間もなく野川に懸かる細田橋だ。橋のたもとで、北岸から注いでいる水は、ほたる園(野草園)や農業高校から湧き出たもので、夏の間、途中の田んぼを潤してきた流れだ。この付近の両岸は桜が見事で、春は花見でにぎわう所だが、落葉の季節も風情がある。野川では至るところで鯉が見られる。しらさぎやかる鴨も多く、運がよければカワセミにも会える。
野川縁の
細田橋から野川を約4km遡るが、道はよく整備されていて快適だ。どちらの岸辺を歩くのが良いかは、一概には言い難いが、概して左岸(南岸)の方が樹木が多い。日当たりの道がよいとか、歩いて暑くなったとかで、その都度橋を渡ればよいだろう。
細田橋から400mくらいのところ、「大橋」の少し先だが、ここでも北岸から水が勢いよく落ちている。これは深大寺からの水で、深大寺城址の下の水生植物園を回ってきた流れで、今では途中に水を待つ田はない。
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野川はやがて布田駅から伸びる三鷹通りを横切り、武蔵野卸市場の横で中央高速の下をくぐる。ここにかかる橋場橋と南北道は、計画されている調布のシンボル道路の一部だ。ここから御塔坂橋(武蔵境通り)までの両岸は川辺がよく整備されていて、お花見を兼ねたバーベキューなどで最もにぎわう所。また、ここから旧人見街道の少し手前までは、南側の水辺を歩くこともできる。しかし、御塔坂橋以西は手入れがよくないので、夏草の茂った時や雨上がりは奨められないし、岸に上がる階段が少ないので注意しよう。
御塔坂橋からは三鷹市大沢地区になり、この橋がおおよその中間点だ。さて、南に屋敷林のケヤキがそびえ、北の斜面(国分寺崖線)一杯に敷き詰めた住宅を眺めたりして、大沢橋に着く。ここは西調布駅から武蔵境方面へぬける天文台通りで、この橋の少し手前から樹木が少なくなる。しばらく行くと旧人見街道の相曽浦橋。ここから東八道路下までは左岸を歩く。橋の手前の右岸に田んぼが見えるが、その奧は蛍の里。山のような木立の中に古代遺跡(出山横穴墓群)もあるので寄り道したいところ(公開時間は9:30〜16時、水曜休み)。
人見街道を左に400mほど行けば、近藤勇の生家跡があるが、殆ど何も残っていない。墓のある竜源寺はその手前だ。この辺は市境が入り組んでいて、生家は調布市、墓は三鷹市、野川公園の殆どは調布市、歩いて来た野川は三鷹市だ。
さて、人見街道から坂道を下り、東八道路下のやや陰気な橋をくぐればもう野川公園だ。
小さな橋を渡ると、泉が2カ所ある。今年は雨が多かったので、例年になく水が豊富だ。以前は、「この水でいれたコーヒーは美味しい」と言って持ち帰る人もいたが、今では、飲用に適さないと掲示されているので、せめて冷たい水に手を浸す程度にしておこう。右岸の湿地帯は自然観察園として保護されており、2つ先の桜橋(周りは柳並木だが)横に入口がある(公開時間は9:30〜16:30、月曜休み。対岸に自然観察館あり)。珍しい野鳥をねらう写真マニアの姿も見られる。桜橋から公園のはずれまでが野川とその周辺が最も美しいところ。左岸(南西側)のなだらかな芝生に、おのずからなる細道を、ぜひゆっくりと歩きたい。かすかにゴルフ場の面影を残す芝生の中の道は、いくつかに分かれて、二枚橋処理場の手前まで続いている。
静かな散策を楽しんだら、東八道路を渡ろう。ちびっ子広場、広い芝原やテニスコート、バーベキュウ広場、管理棟などがある公園本体へは、東八道路を越える3つの陸橋で渡る。休日はにぎわう広場も、早朝の人影はまばらだ。ベンチに座って暖かいお茶でも飲みながら黄葉を眺め、早起きの親子を目で追ったりしていると、平和と自然のありがたみを実感できるだろう。
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